偽CAPTCHA(ClickFix)マルウェア攻撃の手口

セキュリティ警告: 「私はロボットではありません」のCAPTCHAを装ったマルウェア感染手口が横行しています。

ClickFixとは?

「ClickFix」と呼ばれる攻撃手法は、Webサイトでよく見かける「私はロボットではありません」のCAPTCHA認証を偽装し、ユーザーに特定のキーボード操作をさせることでマルウェアを実行させる手口です。この攻撃は2024年12月から確認されており、主に「Storm-1865」と呼ばれるサイバー犯罪集団によって行われています。

攻撃の流れ

1. ユーザーは詐欺メールのリンクをクリックし、正規サイト(例:Booking.com)に見せかけた詐欺サイトへ誘導されます。

私はロボットではありません

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主な標的と攻撃事例

標的業界/サービス 攻撃手法 報告時期 備考
旅行業界
(Booking.com)
宿泊施設担当者へのフィードバック通知や問い合わせを装った詐欺メール 2024年12月~
2025年2月現在も継続中
アカウント乗っ取り後、予約客へ決済情報の提供を求める二次被害も
ヘルスケア業界
(HEP2go)
正規サイトへのアクセス時に不正サイトへリダイレクト 2025年2月下旬~ 理学療法士などの専門家が標的
Webブラウザユーザー Google ChromeやFacebookのエラーページを装い「Fix it」ボタンを表示 2024年10月頃~ 米保健社会福祉省が注意喚起
その他 ゲーム、PDF閲覧ソフト、Zoomアプリなどを探すユーザーを標的 2024年~ 幅広いユーザーが標的に

なぜこの攻撃が効果的なのか

1

不審な印象を与えにくい

CAPTCHAは多くのWebサイトで一般的に使用されているため、ユーザーは疑いを持ちにくい

2

ユーザー自身の操作で実行される

マルウェアをユーザー自身のキーボード操作で実行させるため、Webブラウザのセキュリティ対策をすり抜けやすい

3

巧妙な標的型攻撃

旅行業界やヘルスケア業界など、特定の業界や役割の人々を標的にした詐欺メールを送信

対策と予防法

ユーザー向け対策

  • 「Windows+R」「CTRL+V」「Enter」のキーボード操作を指示されたら、詐欺の可能性を疑う
  • CAPTCHAで通常と異なる操作を求められた場合は注意する
  • 不審なメールのリンクは開かない、添付ファイルは実行しない
  • 正規サイトには直接URLを入力するか、ブックマークから訪問する

組織向け対策

  • 従業員へのセキュリティ教育・トレーニングを強化する
  • こうした詐欺手口の最新情報を定期的に共有する
  • 不審なメールの報告システムを確立する
  • マルウェア対策ソフトを最新の状態に保つ