起業家として長く活動を続けるためには、売上だけを追い求めるのではなく、起業の「原点」と「動機」を見失わないことが重要です。この記事では、起業家として持続可能なキャリアを築くために、最初に決めておくべき3つの重要な決断について解説しています。
売上を上げることが目的になると、本来の起業の意義を見失いがちです。まずは「どこまで成長できれば、不必要に事業の売上を伸ばす必要がないか」というラインを知ることが大切です。
多くの経営者は「前年度より売上を上げることが良い経営」と錯覚し、無理に売上を伸ばし続けようとします。しかし、売上の拡大が目標になると、社員は「何のために、この仕事をしているのか」という目的を見失いがちです。
大事なのは「足るを知ること」。事業が必要十分なお客様に届けられ、社員も心身ともに豊かに暮らしていくことができ、会社が成り立っているなら、それはもう立派な優良企業です。
「まずは必要最低限の年商と、心地よいと感じる年商の両方を定めましょう」
企業の状態 | 年商の目安(例) |
---|---|
経営が成り立つ最低限 | 5000万円 |
無理に売上を伸ばす必要のないライン | 設定すべき |
経営者個人としても、「これだけは稼がないと生活できない」という最低限の年収と、「ここまで稼げれば十分」という心地よい年収を決めることで、無理のない働き方の上限と下限が見えてきます。
起業の手段と目的が入れ替わらないためにも、「自分は、何のために起業したのか?」という起業の原点、動機に立ち返ることが大切です。
著者の矢島氏は創業時、最低でも年収500万円は稼ぎたいと思ってはじめました。それは自分ひとりがまず心豊かに生きていくため、さらに余白を持って家族や大切な人の「やりたい」を応援できる心地よい年収は700万円以上と設定していました。
収入の種類 | 金額(著者の例) | 設定理由 |
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最低限必要な年収 | 500万円 | 自分らしく生きるために必要 |
心地よい年収 | 700万円以上 | 家族や大切な人の「やりたい」も応援できる |
年収の設定は仮説であり、家族構成の変化など状況に応じて柔軟に見直すことも大切です。
1人の人間としての暮らしを大切にしながら働くためには、具体的な働き方のルールを自分で決めることが重要です。「この時間は休む、この時間は働く」と決めてから、その時間内に収まるようにしていくと、自分の暮らしや家族との時間を犠牲にすることなく働けるようになります。
著者の矢島氏は「1週間のうち3日休んで、1日6〜8時間働く」と最初に決めて、その時間内に収まる働き方をするようになりました。
無理なく働くことが持続可能な起業家であり続けるためのカギです。何が無理で何が無理でないのかはライフステージによっても異なるため、自分でそのつど自分と対話して決めていく必要があります。
働き方の要素 | 著者の設定 | 現実の状況 |
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週の休日数 | 3日 | 平日丸1日休みは少なく、半日勤務を組み合わせて実質3日 |
1日の労働時間 | 6〜8時間 | 概ね維持 |
次の目標 | 平日も丸1日休める日を作る | 取り組み中 |
起業家だからといって肩肘張って仕事ひと筋で生きる必要はありません。休むときは休んで、1人の人間であることを忘れないでください。
起業家として長く活動を続けるためには、以下の3つを明確に決めておくことが重要です:
これらを意識することで、起業の「原点」と「動機」を見失わず、長く持続可能な形で起業家であり続けることができます。無理なく働けるスタイルでなければ、起業家として継続することはできないのです。