AIにおける学習推論参照の違い

ChatGPTなどの生成AIに画像やテキストを入力する際、「学習させている」と誤解されがちですが、実際には異なります。
AIが情報をどのように扱い、応答を生成するのか、「学習」「推論」「参照」「保存」のプロセスを図解します。

① 学習 (本当の記憶)

事前に大量のデータを用いてAIモデルの内部パラメータ(知識の土台)を更新・構築するプロセス。
モデルの知識として定着し、抽象化された特徴が蓄積されます。
例:ジブリ作品の特徴を学習し、「ジブリ風」という画風の知識を獲得する。

② 参照 (一時的な入力)

ユーザーが入力したプロンプト(指示、質問、画像など)をその場限りで一時的に読み取る行為。
情報はAIモデル内部に記憶・蓄積されません。
例:「この写真をジブリ風にして」と入力された写真データ。

③ 推論 (応答生成)

学習済みの知識参照した情報(プロンプト)を基に応答を生成するプロセス。
AIモデルのパラメータは変化しません。
例:学習済みの「ジブリ風」知識を参照した写真に適用し、変換後の画像を生成する。

④ 保存 (擬似記憶)

会話履歴などを外部データベースに記録すること。
AIモデル自体が記憶しているわけではなく、必要に応じて外部データを高速に「参照」することで、記憶しているように見せかけます。
※サービスによっては、保存されたデータが将来の「学習」に使われる可能性もあります。

概念の比較まとめ

概念 内容 AIモデルのパラメータ データの扱い 目的 人間の例え
学習 AIの知識基盤を構築 更新される 知識として内部に取り込み、抽象化・蓄積 汎用的な知識・能力の獲得 経験から学び記憶する
参照 ユーザーからの入力を一時的に読み取る 変化しない その場限りで利用、蓄積されない 推論のための入力情報提供 メモを見る
推論 学習済み知識と参照情報から応答生成 変化しない 学習済み知識と参照情報を利用 具体的な応答・結果の生成 記憶とメモを基に判断・応答する
保存 (擬似記憶) 会話履歴などを外部に記録 変化しない 外部データベースに書き込み・蓄積 文脈の維持、過去情報の参照 日記やノートに記録する