AIの学習・推論・参照プロセス解説

プロセスの図解

AIがユーザーの指示(例:「画像をジブリ風にして」)に応答するまでの流れを図で示します。

1. 学習フェーズ (事前)

大量のデータ
(例: 様々な画像)
学習 (トレーニング)
パターン・特徴を抽出
(例:「ジブリ風」の特徴)
学習済みモデル
(知識の塊)

2. 推論フェーズ (実行時)

ユーザー入力
(例: 写真 +「ジブリ風にして」)
推論 (実行)
学習済み知識を適用
知識を 参照
出力結果
(例: ジブリ風画像)

各概念の説明

学習 (Learning)

AIが大量のデータからパターン、ルール、特徴(例:「ジブリ風」の色使いや線の特徴)を自動的に見つけ出し、知識を獲得する準備段階。時間と計算コストがかかる。個々のデータを記憶するのではなく、一般的な特徴やルールを抽象化して「モデル」を構築する。

推論 (Inference)

学習済みのモデルを使って、新しい入力(例:ユーザーの写真と指示)に対して、学習した知識を活用し、予測や判断、新しいデータ生成(例:ジブリ風画像の生成)を行う実行段階。リアルタイムに近い速度で実行される。この段階では基本的に新しい学習は行わない。

参照 (Reference)

推論プロセスの中で、AIが学習によってモデル内部に獲得・保持している抽象化された知識やパターン(元のデータを直接見ているわけではない)にアクセスし、それを利用すること。指示に応じて必要な知識を引き出す内部的な動作。

「学習」と「推論」の比較

特徴 (Feature) 学習フェーズ (Learning Phase) 推論フェーズ (Inference Phase)
目的 (Purpose) モデル構築・知識獲得 知識活用・出力生成
タイミング (Timing) 事前計算・長時間 リアルタイム・短時間
使用データ (Data Used) 大規模データセット (訓練データ) ユーザー入力 (新しいデータ)
計算コスト (Cost) 非常に高い 比較的低い (1回あたり)
モデルの状態 (State) パラメータ更新中 パラメータ固定 (読み取り専用)

※「参照」は推論フェーズにおける内部的な知識利用の動作を指します。

結論

「画像をジブリ風にして」という指示の瞬間、AIは推論を実行しています。事前に学習した「ジブリ風」の知識を参照し、新しい画像を生成しているのであり、その場で学習しているわけではありません。