Apple Watchの「コア睡眠」とは?
睡眠段階をわかりやすく解説

Apple Watchなどのフィットネストラッカーで見かける睡眠データ。特にApple Watchの「コア睡眠」という用語について、その意味や科学的な背景、他の睡眠段階との違いを解説します。

1. Apple Watchにおける「コア睡眠」の定義

Apple Watchが示す「コア睡眠」とは、「軽い睡眠」の別名です。

これは科学的にノンレム睡眠の段階1 (N1) と段階2 (N2) に相当します。

Apple Watchは主に体の動きを基に、以下の4つの睡眠状態を推測・分類しています。

なぜ「コア」という名称なのか?

Appleは、「軽い睡眠」という言葉が「重要でない睡眠」と誤解されることを懸念しました。ノンレム睡眠の段階2 (N2) は一晩の睡眠の約半分を占め、記憶の定着など重要な役割を持っています。そのため、「軽い」ではなく、より重要そうに聞こえる「コア」という名称を採用しました。

2. 科学的な睡眠段階とその特徴

脳波(EEG)測定に基づく科学的な睡眠段階と、Apple Watchの分類、各段階の目安となる割合などを表にまとめました。

段階名 別名 / 特徴 Apple Watchでの分類 睡眠時間に占める割合 (目安) 主な役割・特徴
ノンレム睡眠 段階1 (N1) 導入期 / まどろみ コア睡眠 約5% 覚醒から睡眠への移行期。数分程度。
ノンレム睡眠 段階2 (N2) 軽い睡眠 / 睡眠紡錘波・K複合体 約45% 睡眠時間の大半を占める。記憶の定着。歯ぎしりが起こりやすい。
ノンレム睡眠 段階3 (N3) 深い睡眠 / 徐波睡眠 深い睡眠 約25% 脳波が最も遅くなる。起こすのが困難。身体の修復、成長、免疫強化。加齢と共に減少。
レム睡眠 逆説睡眠 / Rapid Eye Movement レム睡眠 約25% 急速な眼球運動。夢を見る段階。身体はほぼ麻痺状態。脳活動は覚醒時に近い。夜の後半に長くなる傾向。

※割合は一般的な目安であり、個人差や日によって変動します。Apple Watchの分類は、体の動きなどからこれらの段階を推測したものです。

3. 「コア睡眠」(軽い睡眠)を増やすには?

Apple Watchで「コア睡眠」の時間が短いと感じても、特定の段階だけを増やすのは困難です。重要なのは睡眠全体の質を高めることです。

基本的な睡眠衛生の改善に取り組みましょう。

注意点: ウェアラブル端末は睡眠・覚醒の判定精度は比較的高いですが、睡眠段階の判定は必ずしも正確ではありません。アルゴリズムが段階を取り違える可能性もあるため、特定の段階の数値だけに一喜一憂せず、全体的な睡眠時間や日中の体調を重視しましょう。

4. 「コア睡眠」という言葉の他の意味

Appleの定義とは別に、「コア睡眠」という言葉は歴史的に異なる意味で使われてきました。これが混乱を招く一因となっています。

これらの異なる意味が存在するため、文脈に注意が必要です。

まとめ

Apple WatchやApple Healthアプリにおける「コア睡眠」は、科学的な分類でいう「軽い睡眠」(ノンレム睡眠 N1 + N2) を指します。

これは睡眠全体の約半分を占める正常で重要な段階です。「軽い」という言葉の否定的な響きを避け、Appleが独自に名付けました。

睡眠の質を高めるには、特定の段階にこだわるよりも、規則正しい生活や良い睡眠環境といった睡眠衛生全般を改善することが最も効果的です。