近年、肝臓の健康に注目が集まっています。医学が進歩して、肝臓こそ健康長寿を実現するカギになる臓器だということが分かってきました。特に「脂肪肝」は動脈硬化や糖尿病などを招く重大な病気であることが判明しています。
ただ、肝臓は、ポイントを押さえたケアを行えば復活する臓器です。肥満やアルコールなどの問題で長年健診の肝機能の数値が悪かった人も、やるべきことをやりさえすれば短期間で回復させることができます。
ビール500mlは約200kcalで、これはごはん1膳分のカロリーに相当します。だから、「こんなカロリーが高いものを何杯も飲み続ければ当然太る」と思ってしまう人が多いでしょう。
アルコール自体のカロリーが肥満につながることはありません。その理由は、アルコールに含まれるエネルギーの多くがすぐに熱量として放出されてしまうからです。
お酒をよく飲む人にどうして太った人が多いのでしょう。実は、太る原因はアルコールではなく、一緒に食べるおつまみなのです。酒太りの原因の9割はつまみだと言ってもいいでしょう。
とりわけ、要注意なのが糖質の多いつまみです。酒が入るとついつい数多くのつまみを口に入れてしまうことが多いもの。これだけ多くの糖質を摂っていれば太らないわけがありません。
注意:つまみが太る原因だからといって、「つまみなし」で飲むのはNGです。何もつままずにアルコールだけ飲むスタイルは、肝臓にかかる負担を大きくしてしまいます。とくに強いアルコールを何もつままずに流し込むのは「肝臓いじめ」に等しいと思っておくべきでしょう。
糖質が少なく、たんぱく質や食物繊維が多い食品を選ぶことで、肥満や脂肪肝が進むことを防げます。
分類 | 代表的な酒 | 糖質 | 健康への影響 |
---|---|---|---|
醸造酒 | ビール、日本酒、ワイン | 含む | 比較的太りやすい |
蒸留酒 | ウイスキー、ブランデー、焼酎 | 含まない | 太りにくい・肝臓への負担小 |
甘いアルコール | 梅酒、甘酒、甘い缶チューハイ | 多く含む | 太りやすい・肝臓に悪い |
ストロング系缶チューハイ | アルコール度数9%前後の缶チューハイ | 含む場合が多い | 肝臓に大きな負担・最も注意が必要 |
9%の缶チューハイ500mlの純アルコール量は36gあり、これはアルコール度数43%のウイスキーロック(30ml)の3.5杯分に相当します。この度数のアルコールを「気軽にグイグイ」と飲んだりしたら、肝臓が大ダメージを被るのは避けられません。
最近はアルコール度数を低く抑えてジュースのような甘さで飲みやすくした350ml缶のサワーが数多く発売されていますが、こうした糖質たっぷりのアルコール飲料を何杯も飲むのは、甘い炭酸飲料をがぶ飲みしているのとたいして変わりません。
長く健やかにアルコールを愉しむには、「適量」を守るのはもちろん、糖質の少ないつまみを選んだり、糖質の多い甘い酒を控えたりする姿勢も必要です。
普段からそうした姿勢で飲んでいれば、肥満や脂肪肝を進ませることもなく、体の健康を心配する必要もなく、かなりの高齢になるまで長くアルコールを愉しめるはずです。80歳、90歳はもちろん、100歳までアルコールを愉しむことも可能でしょう。
「肝臓に悪くなく、肥満にもならない飲み方」を身につけて、アルコールを自分の人生の味方につけていくようにしましょう。