あの手この手、被害に遭わないために
ネットバンキングの不正送金被害は深刻な状況になっています。2023年の被害額は過去最悪を記録し、2018年と比較して約19倍に増加しています。1件当たりの被害金額も大きく、口座残高が丸ごと奪われるケースも少なくありません。
年 | 被害総額 | 特徴 |
---|---|---|
2018年 | 約4億6100万円 | 比較的少額 |
2023年 | 約87億3100万円 | 過去最悪(2018年の約19倍) |
2024年 | 約86億9000万円 | 依然として高水準(4,369件) |
銀行員や警察官を装い、「ログインIDの更新が必要」「詐欺事件の犯人を逮捕した」などと電話でだまし、個人情報やパスワードを聞き出す手口。
事例:「銀行のログインIDの更新が必要」という自動音声電話から始まり、折り返し電話をかけさせ情報を聞き出す。
銀行を装った偽のメールやショートメッセージ(SMS)を送り、偽サイトに誘導してアカウント情報を盗み出す手口。全体の約9割を占める。
手法:「セキュリティ強化のため一時利用停止」「アカウントが凍結された」などと焦らせ、偽サイトでログイン情報を入力させる。
ワンタイムパスワードも同時に窃取する高度な手口。詐欺師は裏側で同時に公式サイトにアクセスし、盗んだパスワードをリアルタイムで使用。
技術:RPAなどの自動化技術を使ったシステムで、ワンタイムパスワードの入力と振込処理を自動化している。
「ウイルスに感染した」などの偽警告で不安をあおり、遠隔操作ソフトをインストールさせて口座から資金を抜き取る手口。
事例:490円の手数料振込時に詐欺師が遠隔操作でゼロを3つ追加し、49万円に改ざんした事件も。
「医療費の過払い金がある」などと言って個人情報を聞き出し、被害者名義でネットバンキング口座を開設する手口。
被害:詐欺師が被害者になりすまして口座を開設し、預金を他口座へ送金してしまう。
典型的な詐欺パターンを知っておくことで、同様の手口に遭遇した際に気づくことができます。
受信したメールやSMSに記載されたURLは開かず、公式サイトは自分で検索するか登録済みのブックマークからアクセスしましょう。
マルウェア対策として、OSを常に最新の状態に保ち、ウイルス対策機能を有効にしておきましょう。
「この電話を切ったら助けられなくなる」などと言われても、怪しいと感じたらすぐに連絡を断ってください。
お金を要求されて不審に感じたら、家族に相談するか、消費者ホットライン「188」または警察のサイバー犯罪対策窓口に連絡しましょう。
ネットバンキング詐欺は年々手口が巧妙化し、被害額も増加しています。デジタルリテラシーを身につけ、常に警戒心を持つことが大切です。ご家族にも情報を共有し、特にシニアの方々は注意が必要です。ネットバンキングを使っていなくても被害に遭うケースもあるため、この記事で紹介した対策を実践して、詐欺被害を未然に防ぎましょう。