2025年卒の新社会人は「マスク世代」と呼ばれ、大学生活のほとんどをコロナ禍で過ごした世代です。リモート授業が当たり前になり、対面でのコミュニケーションや多様な経験を積む機会が著しく制限されていました。彼らの特徴を理解し、適切な対応をすることが、組織の未来を育てることにつながります。
大学時代にコロナ禍の影響で対面でのコミュニケーションが制限され、上司や先輩との関わり方や多様な人間関係の構築経験が不足しています。
マスク生活が長引いたことで表情筋を使う機会が少なく、無表情に見えることが多いです。感情表現はSNSの絵文字やスタンプに依存しがちです。
大人との関わりが少ないまま社会に出てきており、厳しく指摘されたり叱られたりした経験が不足しています。
リモート環境やデジタルツールへの適応力が高く、既成概念にとらわれない柔軟な発想を持っています。
課題 | 詳細 | 影響 |
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知識ギャップ | 「知らないことを知らない」状態で、すでに知っているように錯覚している | 基本的なビジネススキルの習得に時間がかかる |
表情の読み取り困難 | マスク着用が長期化したことで表情から相手の気持ちを読み取る能力が未発達 | 対面コミュニケーションでの誤解や行き違いが生じやすい |
視野の狭さ | フィルターバブルやエコーチェンバー現象により、同質の情報ばかりに接している | 多様な価値観や視点を理解することが難しい |
楽をすることへの慣れ | 便利な時代に育ち、苦労を通じて得られる喜びや感謝の気持ちが育ちにくい | 困難に直面したときの耐性が低い |
ハラスメント懸念 | 上司・先輩がハラスメントを懸念し厳しく指導できない | 必要な指摘や成長機会が失われる |
表情筋は筋肉なので、繰り返し動かすことで自然な表情が作れるようになります。具体的な「型」を教えて練習させましょう。ベテラン社員も一緒に取り組むと効果的です。
これまでの研修は「知っていることを現場でできるようにする」ことが目的でしたが、「知らないことを知る」ステップからスタートさせる必要があります。
相手の能力を少し超えるようなタスクに挑戦させ、失敗があっても次の糧にできるようフォローする環境を用意しましょう。
「ここは間違っている」「こういう方法もある」と細かくフィードバックできる関係性を構築しましょう。威圧的・支配的な言動は避けつつ、的確な指摘をすることが重要です。
方法 | 実施内容 |
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段階的なタスク設定 | 大きな目標を小分けに設定し、進捗を細かく確認しながらアドバイスを与える |
多様な価値観への触れ合い | 自分とは違う立場や年齢の人と交流する機会を意図的に作る |
達成感の体験 | 壁を乗り越えたときの達成感を積み重ねることで「少し苦労するくらいが自分を伸ばす近道」と実感させる |
ハラスメントとの線引き | 威圧的・支配的な言動は避けつつも、必要な指摘はしっかりと行う |
リモート環境やデジタルツールへの適応力が高く、既成概念にとらわれない柔軟な発想を持つのがこの世代の大きな特長です。この強みを活かしながら、弱点を補う教育が効果的です。
社員教育コンサルタントの朝倉千重子さんは「彼らを戦力化したいならば、上司や先輩がラクをさせないことが重要」と指摘しています。適度な「苦労」を経験させることで、成長と達成感を得られるようにしましょう。
どんな世代であっても、新入社員の育成次第で組織の未来が左右されます。マスク世代が自分の可能性を最大限に伸ばせるような環境を整え、背中を押してあげることが、企業の成長につながります。