読解力は最強の知性である:数字の裏側を見通す力

「ファクトの抜け落ち」を防ぎ、本質を見抜く読解力がビジネスの成功を左右する

1. ファクトと個人の意見を分ける

ファクト(客観的事実)

・数字で示すことができる

・個人の価値観や感情に左右されない

・誰が見ても同じデータとして認識できる

例:カラオケの採点機能の点数

個人の意見

・主観的な評価や印象

・個人の価値観や感情に基づく

・人によって異なる可能性がある

例:「この人の歌が好き」という感覚

ビジネスシーンでの応用: ファクトに基づいた判断を重視し、「私は〇〇だと思う」「△△さんの意見は常に正しい」といった、根拠のない個人の意見に依存しすぎないよう注意が必要。

2. 数字を多角的に分析する

レストランチェーン店の例

収集データ 表面的な解釈 多角的な分析
店長の「好調です」という発言 店舗は順調に運営されている 個人の意見であり、ファクトではない
お昼時、席が半分ほど埋まっていた まずまずの客入り かきいれ時に半分しか埋まっていないのは懸念材料
オープン後2週間の売上:300万円
直近2週間の売上:180万円
売上が出ている 後半の売上は前半の2/3以下に下降している

多角的な分析のために確認すべき追加情報:

3. 数字の裏側を見通す技術

「お客様満足度95%」の真実を見抜く

一見すると高評価に見えるこの数字も、以下の視点から検証が必要:

4. 事実のように書かれている推測・憶測・意見を見抜く

事実

・サトシは運動が嫌いだ

・昨日、サトシは運動会を休んだ

推測・憶測(事実ではない)

「サトシは運動したくないから、昨日の運動会を休んだ」

※運動会を休んだ理由は風邪や家庭の事情など他の可能性もある

読解の注意点: マスコミやSNS、企業のPRなどでは、様々な事実や資料を示して自説の説得力を高めようとすることがあるが、事実から推論できることが必ずしも事実とは限らない。

5. 「豊かさ」の例:定義なき議論の危険性

「日本の失業率は、187カ国中168位に位置しています。また、普通離婚率(人口1000人あたりの、1年間の離婚件数)は1.5。先進国のアメリカ2.3、韓国2.0などと比べてもさほど高い割合ではありません。このように、世界的に見て日本は「豊かな国」だと言えるでしょう。」

問題点:

読解力の本質: 数字の裏側を見通す力は、本質を見通す力である。数字を鵜呑みにするのではなく、その数字にまつわる情報を適切に読み解きながら、その数字の正確性や信憑性を判断することが重要。