ChatGPT、Gemini、NotebookLMなどの最新生成AIを経理業務で活用する方法を解説します。AIの進化により、経理担当者の業務効率化や価値創造の可能性が広がっています。
前提: AIにどんな役割を期待するか
例:あなたは経験豊富な経理コンサルタントです
命令: やってほしい具体的なこと
例:この契約書のリスクを洗い出してください
制約条件: 指示を実行する上での注意点
例:専門用語は使わないでください
出力形式: 結果をどう示してほしいか
例:箇条書きでお願いします
この4つを意識するだけでも、だいぶAIとの対話がスムーズになるはずです。
生成AIは入力情報を「学習」し、他のユーザーへの回答に使用する可能性があります。機密情報を扱う経理業務では「学習機能」をオフにする「オプトアウト」設定が重要です。
例えばChatGPTでは、設定画面の「Data controls」にある「Improve the model for everyone」というスイッチをオフにします。
ChatGPTの「キャンバスモード」を活用して、ローカルベンチマーク(ロカベン)のデータから経営陣向けの分析レポートを作成。文章の編集や修正が容易で、「文章量を短くして」「もっと分かりやすく」といった調整もAIと対話しながら進められます。
GeminiをGoogle スプレッドシートで活用すると、「この表の果物の種類別に金額を集計して」といった自然な指示だけで、適切な関数を提案・適用できます。関数を調べる手間が大幅に削減されます。
GeminiとGmailの連携で、「私宛てで重要そうなものをピックアップして要約して」「この内容で丁寧な返信文を作って」と指示するだけで、重要メールの見落とし防止やメール作成時間の短縮が可能になります。
Geminiを使えば、難解なリース会計基準のPDFを読み込ませ、「この内容を理解するためのクイズアプリを作って」と指示するだけで、プログラミング知識なしでもインタラクティブなクイズアプリが作成できます。
Geminiは外国語の税務申告書などのPDFから必要情報を抽出し、日本語で整理できます。ベトナム語で書かれた税務申告書から税引前利益や納税額などを抽出し、日本の申告書に転記しやすい形で提供します。
NotebookLMはGoogleのAIノートアプリで、アップロードした資料だけを「教科書」として回答を生成します。回答の根拠も明確に示されるため、会計基準の解釈や社内規程に関する問い合わせなどに適しています。
NotebookLMは翻訳作業でも力を発揮します。日本語の有価証券報告書と会社名表記リスト、過去のAnnual Reportを読み込ませることで、固有名詞のスペルも正確で、過去の表現を踏襲した高品質な英文を生成できます。
Claudeを使えば、リース会計基準の複雑な文章を分かりやすいフローチャートに変換したり、有価証券報告書の数字をグラフ化したりできます。複雑な情報を視覚的に理解しやすくするのに最適です。
ChatGPT OperatorはWebブラウザ上での操作をAIが代行する「AIエージェント」です。NotebookLMに複数のWebサイトURLをソースとして追加するといった単調な作業を自動化でき、「このボタン押していいですか?」と確認しながら作業を進めます。
AIエージェントが台頭し始めると、今まで優秀な経理担当者の条件だった『作業スピード』や『知識量』といった要素は、少しずつAIに譲っていくことになるでしょう。そこから先の経理担当者は、より付加価値の高い役割を求められるようになると想像します。
AIツール | 提供元 | 主な特徴 | 経理業務での活用例 |
---|---|---|---|
ChatGPT | OpenAI | キャンバスモード、GPTs(カスタムAI)機能 | 財務分析レポート作成、Operatorによる自動化 |
Gemini | Google Workspaceとの統合 | スプレッドシート関数提案、Gmail処理、PDF解析 | |
NotebookLM | アップロードした資料のみで回答生成、根拠表示 | 契約書分析、英文財務報告書作成支援 | |
Claude | Anthropic | 長文理解力と図表作成能力 | 複雑な情報の図解化、グラフ作成 |
クラウド会計が出た時も、『会計情報をクラウドに上げるなんて!』という声はありました。でも今では当たり前です。考えてみれば、メールで機密情報を送ることだって、リスクがないわけじゃない。生成AIも他のクラウドサービスと同じように、リスクと利便性を天秤にかけて判断すれば良いのではないでしょうか。
チームでAI活用を広める工夫: 便利なプロンプトは、社内SNSに共有するようにします。そうすると、他の人たちも自然とコピペして使うようになります。