藤原和博氏が提唱する「生きる力の三角形」

変化の激しい現代社会において、「10年後、自分に仕事はあるのだろうか?」と不安を感じる方も多いのではないでしょうか。教育改革実践家である藤原和博氏は、著書「10年後、君に仕事はあるのか? 未来を生きるための『雇われる力』」の中で、これからの時代を生き抜くために必要な「生きる力の三角形」という概念を提唱しています。

この記事では、藤原氏が示す「生きる力の三角形」について、その構成要素や重要性を図解と共に詳しく解説し、要点を分かりやすくまとめます。

図解:生きる力の三角形

「生きる力の三角形」の3つの構成要素

藤原氏が提唱する「生きる力の三角形」(書籍や講演によっては「逆三角形」とも表現されることもありますが、ここでは構成要素の積み重ねを重視した図で示します)は、以下の3つの力で構成されています。

これらの力は、それぞれが土台となり、積み重なることで、変化の時代に対応できる総合的な「生きる力」を形作ります。

1. 基礎的人間力:全ての力の土台

「生きる力の三角形」の最も土台となるのが「基礎的人間力」です。これは、私たちが社会で生きていく上で不可欠な基本的な能力を指します。

藤原氏は、これらの基礎的人間力は、特に家庭教育によって育まれる部分が大きいと指摘しています。心身ともに健康で、困難な状況にも粘り強く立ち向かえる力は、他の二つの力を支える上で非常に重要です。

2. 情報処理力:知識をインプットする力

基礎的人間力の上に積み重なるのが「情報処理力」です。これは、与えられた情報や課題に対して、迅速かつ正確に理解し、処理する能力を指します。

従来の教育システムでは、この情報処理力を高めることに重点が置かれてきました。多くの情報を効率的にインプットし、理解することは、社会で活躍するための基本的なスキルの一つです。

3. 情報編集力:新しい価値をアウトプットする力

そして、「生きる力の三角形」の頂点に位置し、これからの時代において特に重要視されるのが「情報編集力」です。これは、単に情報を処理するだけでなく、それらを組み合わせ、新しい価値やアイデアを生み出し、表現する能力を指します。

AI(人工知能)が進化し、単純な情報処理は機械に代替される時代において、人間ならではの「情報編集力」がますます求められます。正解が一つではない問題や、まだ誰も答えを知らない課題に対して、独自の視点から解決策を導き出す力が、これからの社会で活躍するための鍵となります。

情報処理力と情報編集力のバランス

藤原氏は、これからの時代においては、特に「情報編集力」の重要性が増すとしながらも、「情報処理力」も依然として必要であると述べています。そして、この2つの力のバランスについて、以下のような比率が望ましいとしています。(この比率は、かける時間のイメージなど、文脈により解釈が異なります)

能力 望ましい比率の目安
情報処理力 7
情報編集力 3

これは、しっかりとした知識や情報のインプット(情報処理力)を土台としつつ、それを活用して独自の価値を生み出すアウトプット(情報編集力)に繋げていくことの重要性を示唆しています。

まとめ:10年後も活躍できる人材になるために

藤原和博氏が提唱する「生きる力の三角形」は、変化の激しい現代から未来にかけて、私たちが身につけるべき能力を分かりやすく示してくれています。

これらの力をバランス良く高めていくことが、AI時代においても必要とされ、10年後も仕事がある人材であり続けるための重要な鍵となるでしょう。特に「情報編集力」は、これからの社会でますますその価値を高めていくと考えられます。日々の学びや仕事の中で、この3つの力を意識し、鍛えていくことが大切です。