2025年のゴールデンウィーク(GW)が近づいています。この長期休暇はサイバー攻撃のリスクが高まる時期です。管理体制の手薄化、攻撃者が意図的に休日を狙うこと、休暇明けの注意力低下などが主な要因となります。
ゴールデンウィーク前後のサイバーセキュリティ対策:企業が取るべきステップ
なぜゴールデンウィークはサイバーリスクが高まるのか?
- 管理体制の手薄化: システム管理者やセキュリティ担当者の不在時間が長くなり、インシデント発見・対応が遅れる可能性が高まります
- 攻撃者の狙い目: 攻撃者は企業の対応が遅れがちな休日や連休を意図的に狙います
- 休暇明けの「隙」: 大量のメール処理で注意力が散漫になり、フィッシングメールに騙されやすくなります
ゴールデンウィーク【前】に実施すべき対策
1. 緊急連絡体制とインシデント対応計画の再確認
- 社内外の緊急連絡先リストを最新化
- インシデント発生時の対応手順の明確化
- 最新の脆弱性情報を収集する体制の確認
2. システム・機器のセキュリティ総点検
- OSやソフトウェアの最新セキュリティパッチ適用
- 重要データのバックアップと復旧手順確認
- リモートアクセス権限の最小化と不要アカウントの削除
- 長期間使用しないサーバー・PCの電源オフ
- ウイルス対策ソフトの定義ファイル更新
3. 従業員への注意喚起とルール徹底
- 情報持ち出しルールの確認と遵守徹底
- 強固なパスワード設定と管理の徹底
- フィッシングメールへの注意喚起
- インシデント発見時の報告手順周知
ゴールデンウィーク【明け】に実施すべき対策
1. システム・機器のチェックとアップデート
- 休暇中に公開された修正プログラムの適用
- ウイルス対策ソフトの定義ファイル更新
- サーバー・ネットワーク機器のログ確認
- 持ち出し機器の社内接続前ウイルスチェック
2. 従業員への再注意喚起
- フィッシングメールへの警戒(特に添付ファイル・リンク)
- システム更新の重要性再周知
対策チェックリスト
【表1】ゴールデンウィーク前の対策チェックリスト
カテゴリ | チェック項目 | 担当部署例 |
---|---|---|
組織・体制 | 緊急連絡体制(社内外)の整備・確認 | 情報システム部、総務部 |
インシデント対応手順の確認・共有 | 情報システム部 | |
脆弱性情報の収集・評価体制の確認 | 情報システム部 | |
システム | OS・ソフトウェアの脆弱性対策(パッチ適用) | 情報システム部 |
ウイルス対策ソフト等の定義ファイル更新 | 情報システム部 | |
重要なデータのバックアップ取得・復旧手順確認 | 情報システム部 | |
サーバー、VPN機器等の設定確認・脆弱性対策 | 情報システム部 | |
不要アカウントの削除、アクセス権限の見直し | 情報システム部 | |
休暇中に使用しない機器の電源OFF | 情報システム部 | |
従業員 | 持ち出しルール、パスワード管理の周知徹底 | 各部署、情報システム部 |
不審メールへの注意喚起 | 各部署、情報システム部 | |
インシデント発見時の報告手順の周知 | 各部署、情報システム部 |
【表2】ゴールデンウィーク明けの対策チェックリスト
カテゴリ | チェック項目 | 担当部署例 |
---|---|---|
システム | 休暇中に公開された修正プログラムの適用 | 情報システム部 |
ウイルス対策ソフト等の定義ファイル更新 | 情報システム部 | |
各種ログの確認(不審な通信・アクセスの有無) | 情報システム部 | |
持ち出し機器のウイルスチェック(ネットワーク接続前) | 各利用者、情報システム部 | |
従業員 | フィッシングメール等への注意喚起(メール処理時の注意点など) | 各部署、情報システム部 |
システム更新(パッチ適用、ウイルスチェック)の重要性の再周知 | 情報システム部 |
まとめ
ゴールデンウィークはサイバーセキュリティ上の「隙」が生まれやすい期間です。しかし、休暇前の適切な準備と休暇後の慎重な確認作業により、リスクを大幅に低減できます。IPAなどの公的機関からも注意喚起が行われていますので、自社の状況に合わせてこれらの対策を確実に実施し、安全なゴールデンウィークとスムーズな業務再開を目指しましょう。
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