嫌われる勇気――自己啓発の源流「アドラー」の教え』

岸見一郎氏と古賀史健氏による、アルフレッド・アドラーの心理学に基づいた哲学対話形式の自己啓発書です。本書は、「青年」と「哲人（てつじん）」の対話という形を取り、5つの章を通してアドラー心理学をわかりやすく伝えています。

以下に、全章を網羅した要約とわかりやすい解説を章ごとにまとめます。

第1夜：トラウマを否定せよ

「怒りっぽい性格」は「他人を支配したい」という目的があり、怒っているのであって、過去のトラウマのせいではない。つまり「怒り」は手段。アドラー心理学では、「変われない」のではなく「変わらない」という選択をしていると考えます。

人に認められたいと思うあまり、自分の人生を他人の期待に合わせてしまうと不自由になります。「嫌われる勇気」とは、「他人にどう思われるか」ではなく「自分がどう生きるか」を選ぶ勇気です。他人の課題（どう思うか・どう感じるか）は他人に任せ、自分の課題に集中すべきです。

例えば「子どもが勉強しない」のは子どもの課題。親が無理にコントロールしようとすることは不健全です。人間関係をよくするには、「信頼」に基づく関係を築くことが重要。強制や操作は信頼を損ないます。

幸せとは「誰かの役に立っている」と感じられること。アドラーはこれを「共同体感覚」と呼びます。他人と競争するのではなく、協力することで自己の価値を見出します。

人生に絶対的な意味はありません。「意味」は自分で見出すもの。「いまをどう生きるか」に全てが詰まっている。人は変われるし、変わることを選べる。それこそが「自由」であり、それを選ぶ勇気が「嫌われる勇気」です。