調査概要
ある実施した調査では、行政書士、司法書士、税理士、社労士、弁護士など現役士業75人にアンケートを行い、生成AIの脅威度や年収について回答を集めました。特に生成AIの普及により、従来の士業の仕事がどのように変化するのか、また将来的な市場の変化について分析しています。
士業別の内訳と年収分布
回答者の資格内訳
資格名 | 人数 |
---|---|
行政書士 | 30人 |
社労士 | 20人 |
税理士 | 9人 |
司法書士 | 8人 |
その他(弁護士、公認会計士、弁理士など) | 8人 |
年収分布
年収 | 人数 |
---|---|
2000万円以上 | 8人 |
1500万〜2000万円 | 20人 |
1000万〜1500万円 | 6人 |
800万〜1000万円 | 2人 |
600万〜800万円 | 12人 |
400万〜600万円 | 11人 |
200万〜400万円 | 8人 |
200万円未満 | 8人 |
生成AIの脅威度
脅威度の回答結果
脅威度 | 人数 |
---|---|
高い | 41人 |
中程度 | 25人 |
低い | 9人 |
士業別の生成AIサービスと市場への影響
現在、士業に関連する生成AIサービスは「相談系」と「テキスト系」に分類されます。主な士業ごとに以下のようなサービスと影響が予測されています:
士業別のAIサービスと市場食われ度
士業名 | AIサービス例 | AIによる代替可能な業務 | 市場食われ度 |
---|---|---|---|
社会保険労務士 | Flucle「HRBase PRO」、ROBON「労務相談ロボット」、VOLTMIND「労務GPT」 | 従業員の業務運行上の調査、確認業務の処理など | 高い |
中小企業診断士 | ストーン〜、行政書士法人INQ「補助金エージェント」 | 補助金申請に関わる事業計画書の作成など | 中〜高い |
弁護士 | GVA TECH「GVA assist」、LegalOn Technologies「LegalForce」「LegalOn Cloud」 | 契約書作成のアシスト、法務業務管理など | 中程度 |
司法書士 | GVA TECH「GVA法人登記」 | 商業登記は自動化が進んでいる | 高い |
弁理士 | Toreru「Toreru」、Cotobox | 商標の出願は複数のサービスが既に存在 | 高い |
行政書士 | ストーン〜、行政書士法人INQ「補助金エージェント」 | 中小企業診断士と同じ | 高い |
公認会計士 | シクミヤ「shihon」 | 財務諸表作成、監査業務など | 中程度 |
税理士 | ROBON「税務相談ロボット」、VOLTMIND「税務GPT」など | 社労士と同様の業務 | 高い |
現役士業のコメント
アンケート回答者からは、以下のような生のコメントが寄せられました:
- 「顧客先でコンサルティングを行う際にChatGPTを使っており、場合によってはほぼ全ての時間でAIを使ったコンサルをしている」(社労士)
- 「多くの中小企業がAIで効率化を図り、手続き業務などはAIに代替される。独自性を備えて『AIにできない部分』を出さないと生き残れない」(社労士)
- 「単なる手続きや簡易な相談にはAIで十分であり、今後社労士として稼ぐにはそれ以外の個人的な専門的な業務が必要になる」(社労士)
- 「簡単な書類作成はAIで作成できてしまう。また専門家に相談、依頼する前に専門家レベルの知識を仕入れることが簡単になるので、うかつな回答ができなくなることが多くなる」(司法書士)
- 「AIを使いこなせないと仕事を奪われる、というよりもAIを使いこなせない人の仕事がなくなっていくと思う」(社労士)
今後の展望
「資格取得を考える中高年は、その資格を単に取ることを目的にせず、取得後の生成AIの積極的な活用はもちろん、AIに代替できない独自性をどこに見いだし、どこからどうやって収入を得るかまで考える必要がある」と言えます。
生成AIの登場は士業にとって脅威である半面、他と差別化できるチャンスでもあります。今後は資格取得に費やした時間やコストに執着せず、「自分の資格の価値を過大評価しない」姿勢がより重要になるでしょう。
特に新たに資格取得を目指す人にとっては、「できれば2年以内に取得のめどを付け、一刻も早く独立開業できる経験を積むという”短期決戦”の覚悟」が必要だとしています。
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