大阪に新たにオープンした「タイムアウトマーケット大阪」が、従来の日本のフードコートの限界を打ち破る斬新な飲食体験を提供しています。経営コンサルタントの岩崎剛幸氏がその特徴と可能性を解説します。
日本のフードコートが抱える3つの限界
- 満足度の上限
- 調査によると、フードコートは「気軽」「安く食事ができる」というポジティブな評価がある一方、「席の取り合い」「騒がしさ」などのネガティブな評価も多い
- 消費者は「清潔感」「落ち着いた雰囲気」「その土地ならではの料理」「おしゃれな雰囲気」を求めている
- 失敗したくないデベロッパー
- ショッピングセンターでは飲食テナントが全体の約20%を占める
- 集客のために確実に成功しそうな大手チェーン店を選ぶ傾向がある
- 高い賃料
- 飲食店の平均月額坪当たり賃料:28,874円/月坪(物販より約3,000円高い)
- 高い出店コストにより個人経営や地元の小さな店舗が出店しにくい
タイムアウトマーケット大阪の特徴
基本情報
- 場所:JR大阪駅北口「グラングリーン大阪」南館
- 総面積:3,000平方メートル(約1,000坪)
- 座席数:800席強
- 店舗数:1フロアに17店舗と2つのバー
- 営業時間:朝11時から夜11時まで
従来のフードコートとの違い
- 有名店・人気店の集結
- 関西各地の名店や人気店、行列店(いわゆるビブグルマン的な店)が出店
- 同じジャンルの被りがない多様な飲食店構成
- 洗練されたデザイン性
- 店舗の統一感と「大人の雰囲気」を持つ空間
- グラングリーン大阪の施設全体との調和
- 出店のしやすさ
- 基本的な厨房設備を事前に整えて店舗内装を提供
- 出店費用を抑えることで質の高い店舗の誘致を実現
- 付加価値サービス
- 食べたお皿を片付ける必要がない(スタッフが巡回して片付け)
- 共通のタイムアウトマーケットロゴ付きお皿を全店で利用
- DJやライブパフォーマンス用のステージ設置
- アート展示やワークショップなどの体験イベント開催
フードコートのポジショニング変化
分類 | 価格帯 | デザイン性 | 例 |
---|---|---|---|
従来型フードコート | 低価格 | 低い | SC内の一般的なフードコート |
フードホール | 中価格 | 中程度 | 東京ドームのFood Stadium Tokyoなど |
タイムアウトマーケット | 高価格 | 高い | タイムアウトマーケット大阪 |
課題と展望
課題
- 大阪は「食い倒れの街」で食にうるさく、コスパに対して厳しい消費者が多い
- 一部メニューの価格(例:手羽先のから揚げ1本1,500円、プレミアムビフカツカリー3,800円)は大阪の基準では高く感じられる可能性
- 施設の経年劣化に対する対策
展望
- 定期的な店舗の入れ替えで顧客の飽きを防止
- 店舗間の連携やコラボメニュー・企画の展開
- 新たな体験価値の継続的な提供
タイムアウトマーケットは世界展開を進めており、2025〜2027年にはバンクーバー、ブダペスト、アブダビ、プラハ、リヤドにも出店予定です。このビジネスモデルが日本の従来型フードコートのゲームチェンジャーとなるかどうか、今後の展開に注目です。
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