はじめに
2025年入社の新入社員は、大学生活のほとんどをコロナ禍で過ごした「マスク世代」です。彼らの多くは大人との関わりが少ないまま社会に出てきているため、特有の特徴と課題があります。
マスク世代の特徴
コロナ禍の影響
- 大学生活: リモート授業が当たり前、自宅での一人きりの生活が続いた
- 人間関係の希薄化: 友達や教授とのコミュニケーションが限られた
- 社会経験の不足: アルバイトも休業要請などで思うように働けなかった
コミュニケーション上の課題
- 表情が読めない: 日常的にマスクを着用し表情筋をほとんど使わないまま成長
- 無表情傾向: マスクを外しても無表情の人が多い
- ノンバーバルコミュニケーションの不足: 言葉以外の表現(視線、表情、声のトーン、身振り手振り)が圧倒的に不足
知識と経験の差
- 叱られた経験の不足: 大人との関わりや叱られる経験が少ない
- 知らないことを知らない: 自分が何を知らないのかさえ把握できていない
- 限定された価値観: スマホのフィルターバブルやエコーチェンバー現象により視野が狭く、価値観も限定されがち
デジタル時代の影響
- 当たり前の意識: 「ラクすること」に慣れすぎ、苦労を通じて得られる喜びや感謝の気持ちが育ちにくい
- デジタルツールへの適応力: リモート環境やデジタルツールへの適応力が高い
- 柔軟な発想: 既成概念にとらわれない発想を持つ
マスク世代への対応策
表情トレーニング
- 表情筋は筋肉なので、繰り返し動かすことで自然な表情が作れるようになる
- 具体的な「型」を教え、練習を積むステップが必要
- ベテラン社員や管理職も一緒に取り組むことが効果的
知識のギャップを埋める
- 「知っていることを現場でできるようにする」前に「知らないことを知る」ステップから始める
- 基本的なことも丁寧に教える必要がある
多様な価値観との触れ合い
- 自分とは違う立場や年齢の人と交流する機会を意図的に作る
- 「世の中にはこんな考え方もあるのか」と気づく機会を提供する
適切な指導と挑戦
- セクハラやパワハラを恐れるあまり関わりを避けるのではなく、コミュニケーションをしっかり取りながらフィードバックする
- 能力を少し超えるようなタスクに挑戦させ、達成感を味わわせる
- 目標を小分けに設定し、進捗を細かく確認しながらアドバイスを与える
「ラク」より「可能性」を追求させる
- 自力で壁を乗り越えた時の達成感を味わわせる
- 「ラク」ではなく「可能性を追求する」思考へシフトさせる
- 若いうちに苦労や試行錯誤を繰り返し、自ら動いて壁を乗り越える経験をさせる
まとめ
マスク世代の育成には、彼らの特性を理解し、腫れ物扱いせず適切な指導と挑戦の場を提供することが重要です。彼らの可能性を最大限に引き出せるかどうかは、受け入れる企業側のスタンスや育成のあり方にかかっています。新入社員を育てることは、すなわち企業の未来を育てることです。
企業は「マスク世代」の特徴を理解した上で、彼らが社会人として成長できる環境を整えることが重要です。適切な指導と挑戦の機会を与え、彼らの可能性を最大限に引き出すことが、企業自体の成長にもつながります。
マスク世代の特徴と対応策一覧表
特徴 | 課題 | 対応策 |
---|---|---|
コミュニケーション | 表情が読めない・無表情 | ・表情筋トレーニングの実施 ・具体的な「型」を教える ・全社員で取り組む |
知識と経験 | 叱られた経験の不足 知らないことを知らない | ・基本から丁寧に教える ・「知らないことを知る」ステップから始める ・細かくフィードバックする |
価値観 | 視野が狭い 限定された価値観 | ・異なる立場の人と交流させる ・様々な考え方に触れる機会を作る ・多様な価値観を示す |
仕事への姿勢 | 「ラクすること」に慣れている 感謝の気持ちが育ちにくい | ・能力を超えるタスクに挑戦させる ・小さな成功体験を積ませる ・達成感を味わわせる |
強み | デジタルツールへの適応力 既成概念にとらわれない発想 | ・強みを活かせる機会を提供 ・ポテンシャルを引き出す環境作り ・前向きに支える仕組みを整える |
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