デジタルフォレンジックで復元 – フジ第三者委調査 詳細レポート

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タレントの中居正広さんと女性Aさんの間で起きたトラブルに関連し、フジテレビとその親会社が設置した第三者委員会による調査報告書が公表されました。この調査の中で、中居さんがフジテレビ社員(B氏)に対し削除を依頼したショートメッセージ(SMS)が、デジタルフォレンジック技術によって復元されたことが注目を集めています。

中居氏SMS「見たら削除して」 デジタルフォレンジックで復元

調査の核心:デジタルフォレンジックによる徹底的なデータ解析

今回の調査では、デジタルフォレンジックの専門企業「foxcale(フォックスケイル)」が協力し、関係者の膨大なデジタルデータの解析が行われました。調査対象は、フジテレビが役職員に貸与しているPCやスマートフォンだけでなく、本人の同意を得た上で個人利用のスマートフォン、さらにクラウドストレージ(OneDrive)、メール(Outlook)、チャットツール(Microsoft Teams)、スケジュール(Outlook)など、多岐にわたりました。

foxcale社は、これらのデバイスやサーバーからデータを保全し、専用のソフトウェアやレビュープラットフォーム「foxcope・DI」を用いて解析。キーワード検索などを駆使し、膨大なデータの中から関連性の高い情報を絞り込み、レビューを行いました。

調査対象となったデータとレビュー件数は以下の通りです。

調査項目詳細
調査対象データ関係者のSMS、Outlookメール、Microsoft Teamsチャット、LINE、PC・スマホデータ(業務用・個人用の一部)、OneDrive、Outlookスケジュールなど
調査協力企業foxcale (フォックスケイル)
総レビューデータ数約23万件 (117,425件 + 108,103件)
 - PC・サーバー上のデータ (メール、ドキュメント等)117,425件
 - モバイルデバイス内のデータ (チャット、メール等)108,103件 (内訳: チャット 103,610件, メール 4,493件)
削除されていたデータ数1,950件 (復元試行対象)

「見たら削除して」- 削除されたメッセージの復元と判明した事実

調査の過程で、一部の調査対象者から「調査に際して電子データを意図的に削除した」という証言が得られました。これを受け、特に中居氏が主に使用していたとされるSMS、社内外で多用されるLINE、社内コミュニケーションツールであるTeamsについて、削除の痕跡調査が実施されました。

その結果、合計1,950件のデータ削除が確認されました。削除されたSMSとLINEデータについては復元が試みられましたが、一部のLINEデータは技術的に完全な復元には至らなかったとのことです。一方、Teamsのデータは、Microsoft Purviewの機能により削除されたデータも含めて保全されていたため、削除行為に隠蔽などの意図があったかどうかが検討されました。

削除が確認されたデータの種類と件数は以下の通りです。

データ種類削除検出数備考
ショートメール (SMS) チャットデータ417件B氏が中居氏、有力タレントU氏、K弁護士との間で削除した325件を含む。復元を試みた。
LINE チャットデータ86件復元を試みたが、一部は完全には復元できず。
Microsoft Teams チャットデータ1,427件Microsoft Purviewにより削除データも含めて保全。削除意図の有無を検討。
合計1,950件

特に重要な点として、フジテレビ社員B氏(元編成部長)が、2022年5月9日から2025年1月10日までの間に、中居氏、他の有力タレントU氏、そしてフジテレビの法律アドバイザーであり中居氏の代理人も務めたK弁護士との間で交わされたSMSチャットデータ325件を、第三者委員会の調査が始まった後の2025年1月9日から2月1日にかけて意図的に削除していたことが判明しました。

復元されたSMSの内容

B氏によって削除されたものの、デジタルフォレンジックにより復元されたSMSには、中居氏からB氏へ送られた以下のようなメッセージが含まれていました(2023年7月13日夜)。

「B。また、(A氏から)連絡があり、接触障害(ママ・摂食障害と思われる)と鬱で入院。やりたい仕事もできず、給料も減り、お金も無くあの日を悔やむばかりと。見たら削除して。」

「どうしよか。」

このメッセージに対し、B氏は「なかなかですね、、私から無邪気なLINEしてみましょうか??」と返信していました。

また、女性Aさんも、トラブル後に中居氏からSMSが送られてくることに耐えられず、精神的に追い詰められたと述べています。Aさんは中居氏に対し、トラブルが原因で食事が摂れなくなり、摂食障害とうつ病で入院することになった旨をSMSで伝えていました。このAさんから中居氏へのSMSも、中居氏の指示でUI上は削除されていましたが、フォレンジック調査により復元されました。

まとめ:デジタル時代の証拠保全の重要性

今回の第三者委員会の調査は、デジタルフォレンジック技術がいかに強力であるかを示す事例となりました。「見たら削除して」と指示されたメッセージでさえ、専門的な調査によって復元され、事実認定の重要な証拠となり得ます。企業や個人がデジタルデータの適切な管理と保全の重要性を再認識するきっかけとなるでしょう。

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