変動型住宅ローンの現状と仕組み
日本銀行は2024年3月にマイナス金利政策を解除し、2024年7月と2025年1月に追加利上げを実施しました。これにより住宅ローン、特に変動型の金利が上昇しています。住宅金融支援機構の調査によると、77.4%の利用者が「変動型」を利用していますが、その仕組みは金融機関によって異なります。
変動型金利の基本構造
変動型が現在超低金利である理由は、金融機関が大幅に金利優遇をしているためです。
項目 | 詳細 |
---|---|
基準金利(店頭金利) | 約2.625% |
実際の適用金利 | 0.3~0.4%台が多い |
基準金利の参照指標 | 短期プライムレート(56.2%)、長期プライムレート(17.5%)、日本銀行の政策金利(6.1%)など |
金利見直しのタイミングと返済額への影響
金利見直しの時期
金融機関によって金利見直しの時期は異なります。
金利見直しの時期 | 金融機関の割合 |
---|---|
半期ごと(4月、10月) | 72.5% |
毎月 | 9.4% |
年1回 | 4.0% |
半期ごと(3月、9月) | 4.0% |
返済額変更のタイミング
基準金利見直し後、実際に毎月の返済額が変わるタイミングも金融機関によって異なります。
返済額変更のタイミング | 金融機関の割合 |
---|---|
基準金利見直し月の3か月後から | 41.4% |
同2か月後から | 36.0% |
同翌月から | 16.5% |
変動型住宅ローンの保護ルール
5年ルールと125%ルール
1983年に導入された保護ルールで、現在は金融機関の自主ルールとして存続しているケースが多いです。
ルール | 内容 | 採用している金融機関 |
---|---|---|
5年ルール | 返済額を5年間は変更せず、その間の金利変動による過不足分は次の5年間で調整 | 78.5%が「5年・125%ルール」あり |
125%ルール | 返済額の増額は25%以内に抑える | 同上 |
適用金利にあわせて返済額を見直し | ルールなし | 16.0% |
金利上昇時の対応策
返済中のローンの場合
- 実際の増額幅を確認する
- 5年ルールや125%ルールがあれば急激な返済額増加はない
- 繰り上げ返済(返済額軽減型)を検討する
- 金利上昇分を吸収できる
- まとまった資金が必要
- 固定型への切り替えを検討する
- 同じ金融機関での金利タイプ変更
- 他の銀行への借り換え(諸費用が必要)
新規借入れの場合
- 融資実行時(引き渡し時)の金利が適用されることを考慮する
- 全期間金利固定型か低金利の変動型かを検討する
- 固定型と変動型をミックスする「ミックス返済」も選択肢
まとめ
住宅ローンの選択で重要なのは「損得」よりも、返済に支障がないか、教育費などの貯蓄ができるかなど、無理のない資金計画を立てることです。金利タイプの選択や対応策は、借入残高や返済期間、個人の考え方によって最適解が異なるため、具体的な試算をもとに判断することが大切です。
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