Apple Watchを使っている方の中には、「コア睡眠」という用語に疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。この記事では、Apple Watchにおける「コア睡眠」の定義と、一般的な睡眠段階の解説を行います。
Apple Watchにおける「コア睡眠」の定義
Apple Watchでは、「コア睡眠」は**「軽い睡眠」の別名**として使われています。この定義は一般的な科学文献での使われ方とは異なるため、混乱の原因となっています。
Apple Watchが検知する睡眠段階
Apple Watchは主にユーザーの身体の動きを検知して、以下の4つの睡眠状態を識別しています:
- 覚醒
- 軽い睡眠(「コア睡眠」)
- 深い睡眠
- レム睡眠
なぜAppleは「軽い睡眠」を「コア睡眠」と呼ぶのか?
Appleは「軽い睡眠」という用語がユーザーに誤解を与える可能性を懸念しました。「軽い」という言葉が「重要度が低い」という印象を与える可能性があったためです。しかし実際には、この睡眠段階(N1-N2)は一晩の睡眠の50%以上を占める重要な段階であり、記憶の定着などの重要な機能を担っています。
科学的に定義される睡眠段階
脳波(EEG)による測定に基づく一般的な睡眠段階の分類は以下の通りです:
ノンレム睡眠
ノンレム段階1(N1)
- 数分間のみ継続
- 「軽い」睡眠の一部
- Apple Watchでは「コア睡眠」に分類
ノンレム段階2(N2)
- 「軽い」睡眠とされる
- 睡眠時間の約45%を占める
- 記憶の定着が行われる
- 歯ぎしりが起こりやすい
- Apple Watchの「コア睡眠」の主要部分
ノンレム段階3(N3)
- 「深い」睡眠と呼ばれる
- 一晩の約25%を占める
- 「徐波睡眠」とも呼ばれる
- 身体の修復機能が活発化
- 年齢とともに減少傾向
レム睡眠
- 急速眼球運動(Rapid Eye Movement)が起こる
- 夢を見る睡眠段階
- 一晩の約25%を占める
- 眼球と呼吸筋以外の筋肉が一時的に麻痺
- 夜が進むにつれて各サイクルでの長さが増加
理想的な睡眠段階の割合
標準的な睡眠パターンでの各段階の割合は以下の通りです:
睡眠段階睡眠全体に占める割合8時間睡眠の場合の時間N1(非常に軽い眠り)約5%数分間N2(軽い眠り/「コア睡眠」)約45%約4時間N3(深い眠り)約25%約2時間レム睡眠約25%約2時間
「コア睡眠」の他の定義
「コア睡眠」という用語は、Apple以外にも様々な定義で使われています:
- James Horne氏の定義(1980年代):
- 最初の数回の睡眠サイクルを「コア」睡眠とし、人間が機能するために必要な睡眠
- それ以外は「オプション」の睡眠と定義
- 一部の科学文献での定義:
- N3-N4段階(深い睡眠)を指す場合もある
- インターネット上では誤ってN3とレム睡眠を合わせて「コア睡眠」と定義している場合も見られる
- 多相性睡眠における定義:
- 日中の短い昼寝に対して、夜間の長い睡眠を「コア睡眠」と呼ぶ
睡眠の質を向上させるためのヒント
コア睡眠(軽い睡眠)を含む全体的な睡眠の質を向上させるための基本的なアドバイス:
- 就寝前に少なくとも30分間リラックスできる活動を行う
- 毎日同じ時間に起床する
- 就寝直前のスクリーン利用を避ける
- 寝室は暗く涼しく保つ
- 夜間のアルコールやカフェイン摂取を避ける
まとめ
Apple Watchにおける「コア睡眠」は「軽い睡眠」(N1-N2段階)を指しますが、この用語は様々な文脈で異なる定義を持っています。睡眠トラッカーデバイスの測定値は参考程度にとどめ、全般的な睡眠の質を向上させることに焦点を当てることをお勧めします。
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